キミと帰る道






「逢原すず!」




「……逢原、ね」





まるでメモをしているかのように、藤谷くんは左手のてのひらに右手の人差し指でなにか文字を書いている。





…〝逢原〟って書いているのかな?





「藤谷くんは、電車通学なの?」




「うん」




「私は駅の近くに住んでるから、途中まで帰れるね!
………って、もしかして迷惑だった…?」




半ば強引に帰ってるのかな、これって。
そしたらかなり迷惑じゃない…⁉︎





「…いや、別に。
ただ…人と話すのが久しぶりで、上手く話せねぇだけだよ」





藤谷くんは深いため息を吐いて、『俺が悪いんだけど』と呟いた。





チラッと横顔を盗み見ると、なんだか切ない顔をしていた。




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