キミと帰る道





息切れをしながら、少しずつ足をゆっくりに動かして行く。





「うぅ…っ…」





どんなに覚悟してても。
みんなが初恋は実らないと言っても。





藤谷くんと出逢わなければ、恋なんて知らなかったし。
藤谷くんと出逢ったから、恋をしてるとがんばれるってわかったんだ。





私、がんばったよね…?
叶わない恋ってわかってても、ずっと諦めなかったもん。





少しずつ進めていた歩も最後には止まって。
私は住宅街の端っこで立ち止まりながら涙を零していた。





そして、ゆっくりゆっくりと上を見上げる。
すると、さっきまでオレンジだった空は急に灰色へとなっていた。





まるで、モヤモヤしてる私の心みたいな灰色の空の厚い雲。





こうすれば…、涙は止まるはずなのに。
おかしいな…。
全然止まらないよ…。





また、視線を足元に移すと。
涙は灰色のコンクリートを染めて行く。





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