キミと帰る道
「がんばったんだね」
「ありがとう…っ」
そんなに優しくされるとね。
なんだか、泣きそうになっちゃうよ…。
でも、これ以上優芽ちゃんには心配させたくないから。
いまできる精いっぱいの笑顔を優芽ちゃんに見せる。
「優芽ちゃーん、すずちゃーんっ」
そんなとき。
後ろから聖羅ちゃんの声が聞こえて。
私は足をピタリと止めた。
振り返って、聖羅ちゃんと一緒に藤谷くんがいたらどうしよう?
…怖いよ……。
「あ、聖羅〜」
優芽ちゃんも振り返ったし。
私も覚悟を決めて、ゆっくりと振り返る。
「……あ…」
すると、聖羅ちゃんとじゃなくて。
一緒に登校してた、藤谷くんとパチリと目が合ってしまった。
その瞬間、藤谷くんは…私から気まずそうに視線を逸らした。
…避けられてる、んだよね。
私がふつうにしようって思ってても。
藤谷くんは…関わりたくないってことだよね。