キミと帰る道
泣かない。
泣いちゃダメ。
私は泣きそうな気持ちをグッと堪えて。
優芽ちゃんに苦笑いを見せた。
「…っ、ごめん。
私、先に行ってるね?」
「大丈夫なの?」
「……ん」
きっと、大丈夫だから。
すぐにこんな気持ち、忘れるから。
だけどやっぱり、いまはまだ忘れられない。
だって…昨日のことだもん。
だから、ゆっくりゆっくり忘れられていけたらいいのにな。
そうしたら、また〝友達〟として話せるかな?
仲良くできるのかな?
…そうだといいのにな……。
私は優芽ちゃんを置いて速足で学校に向かって歩く。
でも、藤谷くんのことを好きになったのは不思議と後悔してない。
ううん、後悔するわけがない。
だって、〝恋〟ってモノが素敵なモノだと初めて知ったから。
こんなにもドキドキしたのだって。
…初めてだったから。