キミと帰る道






それにずーっとこの気持ちを抑えられるわけではなかったし。





いつかは…こうなるんだってわかってたから。
藤谷くんと聖羅ちゃんが結ばれて。
藤谷くんが幸せなら、私はそれでいいんだ。





好きな人には幸せになってもらいたい。





それが叶えば、私はもう諦められるから。
まだ、そんな簡単に諦められないけどね。
だって……そんな簡単に忘れられるような恋じゃないから。





がんばって藤谷くんに覚えてもらって。
だからそれで藤谷くんが人を覚えられるような一歩を踏み出したなら、嬉しい。





私は少しどんよりとした空を見上げた。
そんな雲の隙間から、ほんの少しだけ顔を出して来た太陽が、ちょこっと眩しい。





…空は人の心を表すんだね。
思わずそんな解釈をしちゃう。





だって、私の心もどんよりしてるけど。
少しだけ進めた気がするから。





「……よしっ」





あとから登校してきた優芽ちゃんと聖羅ちゃんに笑顔で会えるように。





ちゃんと進むよって言えるように。
私は大丈夫だよって。





ふたりに心配かけないで。





私は私なりに進むことにする。





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