キミと帰る道
(光輝)
どんよりと曇った空を、低いフェンスに頬杖をつきながら見上げる。
……追いかければよかった。
それは、2度目の後悔で。
俺はため息を吐いてフェンスに寄りかかって。
そのまま、地面に腰を下ろした。
「……なにがしたいんだよ…」
すずのことを考えると、自分で自分がわからなくなる。
すずをたくさん傷つけてる自分が、情けなくなる。
…それは、聖羅も。
聖羅だって…傷つけてんだよな、俺。
またため息を吐いて、地面を見つめていた視線を、また空に向けた。
バンッ———。
「光輝ッ!」
そんなとき、ちょうど目の前にあるドアが勢いよく開いて。
ものすごい形相の聖羅がズカズカと歩きながら俺の前に来た。
「……聖羅?」
「光輝はなんのためにすずちゃんのことを覚えたの!?」
「…は? なに急に…」
「いいから!」
「…それは、人のことを覚えられるようにするための、練習…?」
そのはずだった。
すずを覚えられたら、俺は人のことを覚えられるようになるんじゃないかって…。