キミと帰る道

———だけどやっぱり胸が苦しい。





ふたりは本当は結ばれて欲しい。
だけどふたりはお互いに諦めてるから。
あたしは自分の気持ちに正直になりたくて。





…矛盾してる。
わかってるけど…。




でも、どうすればいいのかわかんないんだもん。





「……聖羅？　どした？」





その言葉に、あたしは足を見つめていた視線を隣にいる光輝に向けた。





「ううん、なんでもないっ」





作った笑顔を光輝に見せると。
光輝は柔らかく笑った。





…やっぱり、好きなんだよ。
その気持ちが勝っちゃうんだよ。





だから、光輝がちゃんと自分の気持ちに正直になって、すずちゃんに伝えるまでは。




…このわがままを許してください。
光輝の隣に彼女として並ぶ、わがままを。





たとえそれが少しの間になったとしても。
…ふたりが結ばれるまでは。
光輝の気持ちがあたしに向いてなくても。