キミと帰る道
「ちょっと、嬉しいことあって」
「…悲しいことじゃなくて?」
「うんっ」
藤谷くんとのことは。
悲しいことだけじゃなくて。
嬉しいことだって、あるんだよ。
藤谷くんが人と楽しそうに話すのを見ただけで、なんだか心が温かくなるもん。
「ふぅん。 それならいいんだけどね!」
優芽ちゃんは優しく微笑んだ。
そんな優芽ちゃんに『ありがとう』と私も笑顔を返す。
「すずちゃん、優芽!
ねえ、これ見てよっ」
あみちゃんが少し離れたところに立つ、私と優芽ちゃんを手招きした。
机の上に広げられた雑誌のあるページを、あみちゃんが指を差す。
「この子可愛いよね〜」
「あみちゃんってば、センスないの!
こっちの子のほうが可愛くない?
すずちゃんと優芽ちゃんはどう思う?」
ふたりは別々の女の子を指差しながら、私と優芽ちゃんをじーっと見てくる。
うーん…どっちのモデルさんも可愛いんだけどなあ。