キミと帰る道
「聖羅ちゃん」
「…っへ?」
お箸を置いて。
真っ直ぐに聖羅ちゃんを見つめると。
聖羅ちゃんも私に目を合わせながら、少し驚いたように首を傾げた。
「笑って?
別にね、聖羅ちゃんのこと憎んでないもん。
私はふたりが結ばれて嬉しいもんっ」
「すずちゃん……」
私は恋をしてて周りが見えてなかったのかもしれない。
…だって、聖羅ちゃんの優しさをちゃんとわかってなかった。
聖羅ちゃんだって恋をしてるのに。
私の背中をそっと押してくれたんだ。
だから今度は、私が優しさを返すんだ。
……だって、聖羅ちゃんは大切な友達だもん。
「ありがとう」
私のことなんて気にしないで、恋を楽しんでほしい。
聖羅ちゃんが悲しむ理由なんてないんだから。
自分なりにわくわく、うきうきするような恋をしてほしい。
人の目なんて気にしなくたっていいんだよ。
…それが、大切な友達に伝えたい気持ち。