キミと帰る道
「強いね、すずは」
「っえ? そう、かな?」
弱いのに。
優芽ちゃんにそんなこと言われて。
ちょこっとだけでも、強くなれたのかなあって思えるよ。
でも確かに、強くなれたのかな。
藤谷くんと出逢って、たくさんがんばったんだから。
諦めないで……ね。
だから、強くなれたんだ。きっと。
気がついたら、ふたりの背中はどんどん大きくなっていて。
思ったよりも近くにいたふたり。
そして、振り返った聖羅ちゃんと私たちは目が合った。
「聖羅〜」
優芽ちゃんが笑顔で走って、聖羅ちゃんの元まで行くのを、私もついて行く。
「まさか、会うとは思わなかったよ。
今日は…えと、ごめんね?」
「私も聖羅ちゃんがいると思わなかった!」
「本当。 来るならそう言ってくれればいいのに」
「あはっ、ごめんね〜」
きっと、言い辛かったんだね。
私は隣に立つ藤谷くんをチラッと見る。
……そんな私はやっぱり少しずるいのかも知れないよ。
「すず」
「……っえ?」
久しぶりに聞いた、優しい低音の声が私を呼んで。
思わず、上ずった声で返事をしてしまった。