キミと帰る道
「ちょっと、来て」
気まずそうに藤谷くんはそう言った。
横目で聖羅ちゃんを気にしながらも、コクンと小さく頷いた。
…なんだか、嫌な予感がするよ。
どうしてか、胸がざわつくんだ。
なにを話されるのか、怖い。
そう思う私はやっぱり弱いんだ。
聖羅ちゃんたちになにも言わずに歩き出した、藤谷くんの華奢な背中にゆっくりついて行く。
足を地面に着けて離すたびに、どんどん鼓動が速くなる。
…それはドキドキとはなんか違う気持ちで。
不安がどんどん降り積もって行く。
「ごめん。 …急に」
「…大丈夫、だよ」
〝関係者以外立ち入り禁止〟と書かれた大きなドアの前の、静かなところで。
藤谷くんはゆっくり立ち止まって振り返った。
「どうしたの?」
怖いけど。
中々話し始めない藤谷くんに、自分でも驚くような小さな声で話しかけた。