キミと帰る道
どうせならもっと話したい。
だけど、ここまで。
私は藤谷くんに笑顔で手を振って、家の方向に体を向けて歩き出す。
…なんでだろ、心がぽかぽかするよ。
藤谷くんは、確かに口調も冷たいけど。
たぶん…。
ううん、きっと、優しい人なんだと思う。
もっと知りたいなって思っちゃう。
ただ見てるだけのみんなより、少しだけ近づきたいと思っちゃう。
また明日。
一緒に帰れるといいな…。
立ち止まって空を見上げれば、学校を出てきたときよりもオレンジ色に染まっていて。
明日は晴れるかな?
そんなことを思いながら、また歩き始めた。
———藤谷くんと会うのは、私には〝また〟だけど。
藤谷くんが次に私と会うときは〝初めまして〟だなんて、まだ知らなかった。———