キミと帰る道





だんだんと視界がボヤけてくる。





「じゃあな」




「……うん…」





いまは泣いちゃダメ。
藤谷くんがどこかへ行くまでは。





冷たい怖い顔の藤谷くんは、私の横を通り過ぎて行った。
振り返ると、少しずつ小さくなる藤谷くんの背中が見える。





やっぱり、手には届かない。
私にとって遠い人だったんだ。





せっかく忘れようとできて。
ふたりを祝福してたのに。
大好きなふたりだから、嬉しかったのに。





『関わらないで』と言った、怖い顔をした藤谷くんのことが頭から離れない。





気がついたら、視界からは藤谷くんは消えていて。
私は壁に寄っ掛かりながら顔を伏せてしゃがんだ。





「ふぇ…っく……」





留めなく零れる涙。
溢れ出すいろいろな感情。





…恋ってこんなにも大変だなんて知らなかった。





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