キミと帰る道
◇16 キミを忘れたいのに
【◇16 キミを忘れたいのに】





(すず)





季節は巡り変わり。
高校生になって…2度目の春がやって来た———。





通学路の街路樹は、淋しい顔から穏やかな春の顔を見せて。
青空の下で桜がふわふわとキレイに舞っている。





「すず! おっはよー!」





後ろから聞こえる、相変わらず元気な優芽ちゃんの声にふふっと笑って。
笑顔のまま、振り返る。





「おはよっ、優芽ちゃん!」





あれ以来、藤谷くんとは…会えてない。
そりゃ、会おうと思えば会えるけど…。





だって…もう、話せないし。
それにきっと、藤谷くんは私のことは忘れてるみたいだから。





嬉しいような悲しいような。
そんな、複雑な気持ちと……。





やっぱり私は、……キレイに咲く桜の花みたいな、まだピンク色のふわふわとした儚い恋心を胸に抱いてる。





未練たらたらすぎだよ…。
でも、この気持ちが消えてくれないんだ。





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