キミと帰る道






…忘れたいのに忘れられない。
嫌われてるのに嫌いになれない。





ああ、ダメダメ!
考えないようにしよう…!





藤谷くんとはもう何ヶ月も話してない。
だから、きっと忘れてるはずだから。





「聖羅と違うクラスってのも、つまんないよねー…」




「…そうだよね」





聖羅ちゃんとは、一応話せてたけど。
優芽ちゃんがいないときはお互いに会話が続かなかった。





…恋が絡むと、友情ってとても難しいんだね。





そんなの知ってたけど。
いま、実際そうなるとどうすればいいのかわかんなくなってきちゃう。





「これじゃあ、探すのも大変だし。
…あとで聞けばいっか?」





高校2年生になるたくさんの人たちを、嫌そうな顔で眺めながら、優芽ちゃんはそう言った。





「うん。 行こっか」





聖羅ちゃんのクラスが気になるけど。
……それに、私と優芽ちゃんが同じクラスになったから。





なんだか聖羅ちゃんに悪い気もしてきちゃう。
新しく友達作るの、大変だもんね。






「あ! 聖羅ちゃんだ…」





仕方なく優芽ちゃんと下駄箱の中に入って行くと。





藤谷くんと階段をのぼっている聖羅ちゃんの後ろ姿が見えた。





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