キミと帰る道
声を掛けるか迷う。
…藤谷くんいるし……。
だけど優芽ちゃんはなにも気にせず、ローファーから中履きに履き替えて、聖羅ちゃんを追いかけた。
…どうしよう。
中履きに履き替えたのはいいものの。
足が、動かない。
「すず!」
そんな私に気付いた優芽ちゃんが、くるりと振り返って。
穏やかな笑みを零しながら、私の名前を呼んだ。
『大丈夫』と言うかのように。
優芽ちゃんは力強く頷いた。
…うん、きっと大丈夫。
藤谷くんは私のことなんて忘れてるだろうし。
聖羅ちゃんと、また仲良くなりたいから。
私は、ゆっくりと足を動かして優芽ちゃんの元に歩み寄る。
「聖羅〜!」
私が優芽ちゃんの元に行くと。
優芽ちゃんは聖羅ちゃんのことを呼び止めた。
聖羅ちゃんはゆっくり振り返って。
それと同時に藤谷くんも足を止めて振り返った。