キミと帰る道
「ふたりと離れるのさみしいけど。
まだ光輝がいてよかったよ」
そうなんだ。
ふたりは同じクラスなんだ!
…それなら、よかったかも。
横目で藤谷をみてみると、ボーッとしながら立っていた。
〝友達〟に戻りたい気もするけれど。
……私と藤谷くんの距離はこれが正しいのかもしれない。
私は藤谷くんに気づかれる前に目を逸らした。
「じゃあ、あたしたち…行くね!」
「うん。 聖羅ちゃん、またね!」
「さみしくなったらいつでもあたしとすずのところに来なよ〜」
聖羅ちゃんはクスッと笑って、『うん!』と頷いてから。
また、藤谷くんと階段をのぼっていった。
「ほら、大丈夫だったでしょ?」
「優芽ちゃんがいたからだよ」
「そんなことないよ。
すずの気持ちが成長したってこともあるよ」
私の気持ちが……?
でも、それなら嬉しいかも。
心の中にある恋心が薄れてるってことだもんね…。
「ありがとう」
優芽ちゃんも聖羅ちゃんも大切な大事な親友だよ。
ふたりがいるから、がんばれる。
ふたりがいるから、進める。