キミと帰る道
「……忘れちゃったの?」
「ごめん、知らない」
「…うん、そっか……。
じゃあ、行ってくるね?」
「あぁ」
高校2年生になって、2ヶ月。
そういえば、聖羅はクラスに友達がいるのにも関わらず、お昼はいつもどこかに行くんだっけ。
「藤谷〜、俺 購買行ってくるわ」
ぼーっとしてると、次は 同じクラスで仲も良くなった慎也(しんや)が財布を持って俺にそう言うと、足早に教室から出て行った。
こんな、どうでもいいことで俺に話しかけてくるような友達は、初めてできた気がするんだ。
人の顔は確かに覚えられないけど。
声と…パーツで覚えられるようになってきた気がするんだ。
俺と慎也はいつも屋上でお昼を食べる。
意外とみんなは屋上を好かないみたいで、穴場って感じがする。
俺は慎也を待たずに、弁当を持って教室を出る。