キミと帰る道
…廊下を歩きながらふと、隣のクラスを覗いてみると。
楽しそうにふたりの女と弁当を食べてる聖羅の姿が目に入った。
小柄でふわふわとしたような人とキレイ目な人といる、聖羅は笑顔だ。
———ああ、思い出した。
……すずだ。
俺はすぐにそのドアから離れて、歩くスピードを速めて屋上に向かう。
…俺ってば、なに忘れてんだよ。
なんですずのこと…忘れちゃいけないのに。
こうも簡単に忘れちまうんだよ…。
そんな自分に腹が立ってしょうがない。
いまでも気持ちは変わらない。
ただ、伝えられなくて。
なんだか怖くなって、逃げたんだ。
———好きなのに。
すずを傷つけてる自分が嫌になった。
でも、余計に傷つけてんのかな。
それとも、すずはもう俺のことを忘れた?
……俺が簡単に忘れちゃうみたいに。