キミと帰る道
私は握りしめていた両手からゆっくり力を抜いた。
「藤谷くんのこと、好き…」
「そっか」
きっと顔赤いけど、ゆっくり顔を上げる。
すると、藤谷くんは嬉しそうに優しく笑ってた。
「ありがとう、すず。
いままで…ごめんな?」
「ううん…っ。 謝らないでよ…!」
「本当に嬉しい…。 俺、すずが初恋だから。
いろいろ、訳わかんなくなってた」
「…うん」
「でも、すずのこと好きになって良かった。 俺のこと、まだ好きでいてくれて嬉しい」
……そんなふうに思ってたなんて。
考えてもみなかった。
だから、いま…泣きそうなくらい嬉しい。
「私、藤谷くんに振られて。
忘れようとしてたけど。
…好きすぎて、忘れられなかった」
「俺は、忘れられてたらどうしようって思ってた」
藤谷くんはふはっと笑った。
私もそんな藤谷くんにつられて、ふふっと笑いをこぼした。