キミと帰る道






「なー母さん」




「ん? どうしたのよ?」





イスに座りながら、朝ごはんを作る母さんに話しかける。





「俺さー…人の顔がよく覚えられねぇんだけど」




「あら…それ、前にも言ってたわよね?
病院で診てもらったほうがいいんじゃないかしら?」





……いや、病院は嫌いだ。
だから行きたくないし。
それに、そんな重い話でもないだろ、きっと。





「やっぱり大丈夫。
そこまででもねーし…」




「それならいいけど…」





テレビの横にある棚に飾ってある、笑顔の小さな女の子。





…これ以上、母さんと父さんには迷惑かけたくねーよ。




< 19 / 228 >

この作品をシェア

pagetop