キミと帰る道
「すずがしっかりしてなくてどうするの?!」
優芽ちゃんが私の肩を揺する。
…そうだよね、私が…しっかりしなきゃだよね。
「すずちゃん。
いまはただ、光輝を信じよう?」
「……うん…!」
私は零れる涙をゴシゴシと拭った。
私がこんなんじゃダメだよね。
藤谷くんは私を助けてくれた。
私も藤谷くんを助けたい。
形ではなんもできないけど。
思うことしかできなくても。
…信じる。
藤谷くんが、目を覚まして生きていることを。
手術が成功して欲しい。
幸せのあとにすぐに振ってきた不幸だけど。
…それでも、もう信じるしかない。
「藤谷くん……」
何度でも。何度でも名前を呼ぶから。
生きていてください………。
藤谷くんが無事でありますように。