キミと帰る道





「ひまわりの花言葉は、〝憧れ〟と〝光輝〟なんだよ。
私ね、藤谷くんの笑顔が好きなんだあ。
それに、藤谷くんの名前は光輝でしょ?」





……柔らかい笑顔が憧れ。
だって私もあんな笑顔をしたいと思うから。





それに、藤谷くんの名前は光り輝く太陽みたいで。





……ひまわりの花言葉はそれだけじゃない。
それは〝私はあなただけを見つめる〟。





私は藤谷くんだけを見つめるって。
そんなこと言えないから。
それは、ひまわりに託したんだ。





「……光輝…か」




「それでね! このタネを買ってきた植木鉢に植えようと思ったの。
ひまわりが咲く頃には、藤谷くんに………」





その続きの言葉が言えなくて。
私は口を閉じた。





目も瞑ると。
太陽の暖かい光を感じる。





「俺に?」




「……治ってほしくて」





本当はそれだけじゃない。
覚えてほしくて思い出してほしい。





前は、赤い葉っぱが落ちるまでって決めたけど。
今回は…暑い夏が来るまで。
ひまわりが太陽を向きながら、大きく咲くまでに決めた。






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