キミと帰る道
「そうだ。
今日、あたしも聖羅も部活休みだからさ、3人でお見舞い行こう?」
「本当!? うん、そうしようっ」
みんなで行ったほうが、きっと藤谷くんも喜ぶと思う。
それに、聖羅ちゃんがいたほうが、もっと。
だって、まだ藤谷くんとは〝初めまして〟を繰り返してる。
これでいいんだ。
何回も自己紹介したら、いつか覚えてくれるから。
「すず、いまどんな感じなの?」
「まだまだこれから!」
「そっか! 早く覚えてくれるといいのにね。
それに…思い出して欲しいね」
「…うん!」
あの帰り道の告白は夢じゃないって。
現実だったんだって思いたい。
…早く思い出して欲しいけど。
そんなに急かさない。
藤谷くんのペースで私のことを思い出して欲しいし。
覚えて欲しいから。
また、1からのスタートだけど。
あの頃よりはきっと、私は成長してる。