キミと帰る道











キーンコーン———。
帰りのHRの終わるチャイムが校舎に響く。





みんなのイスから立ち上がる音がガタガタと教室に響く。





———そんな、いつもの放課後。





「すず、かーえろ!」




「うんっ」





優芽ちゃんが私の席のところに、荷物を持ってやって来た。





私は荷物を肩にかけて、優芽ちゃんと一緒に教室を出る。





そして、隣のクラスを覗く。
……この、同じ作りなのに異世界を見ているような感じは。
藤谷くんと初めて話したときと、同じだ。





もう、あれからかなり経つんだなあって思うと。
なんだか、懐かしくなったりもする。





「聖羅ー!」




「聖羅ちゃーんっ」





前のドアから、聖羅ちゃんをふたりで呼ぶと。
そのクラスの何人かが、私たちのほうをチラッと見てくる。





大声出してるから、かな。





「お待たせ〜」





聖羅ちゃんはにこっと笑いながら、私たちのところへ小走りで来た。





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