キミと帰る道
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ひまわりが病室に大きな花を咲かせて、窓の外の太陽を見つめている。
窓から入ってくる太陽の光は眩しくて、そしてじわっと額に汗を浮かばせる。
…暑い夏が来たんだ。
だけど、毎年この季節に嫌っていた太陽のことを。
今年は不思議と嫌いになれない。
「すず、好きです」
いつも通りお見舞いに来たら、キミはいきなりそう言った。
ひまわりの鉢にジョウロでお水をあげていた私の手が止まる。
…それは、いまの光輝くんの言葉?
それとも、昔の…。前の、光輝くんの言葉?
「事故に遭ったとき、すずが怪我をしなくてよかった」
「……え?」
その言葉を聞いて。
もしかしたらって思う。
でも本当なのかわかんなくて、戸惑っちゃうよ。
「あのとき、気持ちを伝えてよかった。
もし俺が思い出さなかったら、きっと伝えられないまま。
心の奥にいる昔の俺は後悔してたから」
「……それって…?」
光輝くんが答える前に。
私は、目から涙がぽろぽろと零れた。
嬉しくて。
とにかく嬉しくて。
「……光輝くん…っ」
細くなった光輝くんの体に抱きつくと。
光輝くんは、優しく強く抱き返してくれた。
…ぽかぽかしてて温かい。
その温もりを感じて、また涙が零れる。