キミと帰る道
「てか、藤谷くんてば!
もう、すずのこと忘れちゃダメだよっ」
「そうだよっ。
すずちゃんのことだけは、これから先一生忘れちゃダメなんだよ!」
「ふ。 大丈夫だから。
もう、絶対に忘れねぇよ」
光輝くんが、そう私に微笑みかけると。
笑顔で過ごそうって思ってたのに。
なんだか、その言葉が嬉しくて。
目から涙が零れてくる。
9月、初めて話して。
最初はかっこいいからって気になってるだけだった。
だけど、話してみると。
なんだか知らないけど、いつも『誰?』って聞かれて。
でも、光輝くんの病気のことを知って。
守ろうって言うか。
それで嫌われちゃう光輝くんのことを助けたいなあって思って。
人を覚えられるようにと、がんばって話しかけてみた。
本当はね?
何回も〝初めまして〟を繰り返すから。
苦しかったり辛かったり、悲しかったりもしたけど。
その分、覚えてもらったときはものすごく嬉しくて。
それに、私だけじゃなくて。
よく話しかけてくれる人のことを少しだけ覚えてきたって知ったときは。
もっと、もっと嬉しかった。