キミと帰る道






校庭にいる卒業生も、チラホラと学校から出て行く。
名残惜しくても、みんな別々の方向に進んで行っている。





「…光輝くん! 一緒に帰ろう?」




「あぁ。 …行くか!」




「うんっ」





私と光輝くんは、優芽ちゃんと聖羅ちゃんに笑顔で手を振って。





手を繋いで、校門から外に出て歩き出す。





『一緒に帰ろう』って言う放課後の約束も、今日で最後だと思うと。
なんだか、さみしくなる。









でももう大丈夫。
私は光輝くんを信じてるから。





離れることになっても。
また会えるから。





また会えたときは。
光輝くんから、名前を…呼んでくれるよね?





もう『誰?』って聞いて来たら、許さないんだから。





———なんて。





そしたら、またがんばればいいんだ。






諦めなければ。
逃げなければ。





……望みは叶うから。






キミと帰る道は、私に恋する気持ちと。
いろいろなことを教えてくれた。





大切な大事な時間———。
その時間はキミが私を覚えるための、ふたりきりの優しい帰り道。





私は、光り輝く太陽を見つめる…ひまわりのように。
光輝くんだけを、見つめています。





———完。





【キミと帰る道】




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