キミと帰る道
「優芽(ゆめ)ちゃん? どうしたのー?」
「ねえ、あたしの日本史の教科書持ってない?」
美人さんで親友の優芽ちゃんは、困った顔をしながら私の席にきた。
「えー? 私、自分のしか持ってきてないよ?」
そう言いながら、机の中から次の5限の日本史の教科書を出す。
……ってあれ?
引き出しから出した日本史の教科書の裏に書いてある名前は…〝大野(おおの)優芽〟。
「ほらーすずが持ってたー!」
「……え?
じゃあ、私 自分の持ってきてないよ⁉︎」
「んー予鈴まで5分あるよ?
借りてくる?」
「うん!」
この前、優芽ちゃんと一緒に勉強したときに間違えて持って帰っちゃったのかな?
…でも自分の忘れちゃったし…。