キミと帰る道
「……あ!
そうだ、今日一緒に帰ろう」
「は?」
「…昨日、約束したじゃん」
「…ごめん、忘れてる」
私は『大丈夫だよ』っと首を横に振った。
仕方ないよ。
「昨日ね約束したんだよ。
『一緒に帰ろう』って……」
今日の藤谷くんはいいっていうのかな?
藤谷くんの次の言葉を待っていると。
キーンコーンとHRの終わるチャイムが聞こえた。
きっと放課後に話しかけても〝初めまして〟の存在なのかな?
それでも、諦めない。
何度だって自己紹介だってする。
「だから、今日も一緒に帰ろう!」
放課後にまた誘いに行く。
同じ〝初めまして〟の状況が何度続いても、諦めなければいつか…。
藤谷くんが人のことを覚えることができるといいな。
そして藤谷くんから私の名前を呼んでくれればいいのに…。