キミと帰る道











正門を出て、少しずつ人が減ってきた。
私は少し足を早めながら。




藤谷くんにゆっくりと近づいて行く。





「ふ…藤谷、くん!」





声を振り絞って、藤谷くんの背中に向けて話しかける。





…自己紹介、しなきゃ。
また〝初めまして〟からなんだ。





「……なに?」





初めての人に向ける、いつも通りの冷たい視線。
少し仲良くなると、少しだけ柔らかい表情にもなるのにな。





「朝、サボったでしょ?
そのときに私も屋上でサボったんだよ」




「え? ……あー…」





なにかを思い出すように、右手で黒い髪を掻いた。





「………そう言えば、誰かと話した…かも」




「私だよっ。
逢原すず! スマホに鈴のキーホルダーつけたでしょ?」




「……逢原、か」




「うん!
約束したんだよ?
『一緒に帰ろう』って…!」





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