キミと帰る道
なんでだろ…。
なんだか、胸がぎゅうって締め付けられる。
そっか。
忘れられちゃって、悲しいんだ…。
藤谷くんはなにも悪くないんだろうけど。
…きっと、その病気みたいなのが悪いんだろうから。
藤谷くんに向けて怒りも悲しみも見せられない。
「わかった。 いいよ」
「本当⁉︎」
………よかった。
そう言ってくれなかったら、どうしようかと思った。
なにも会話をしないまま、駅までの道のりを肩を並べて歩く。
長く細く前に伸びる、くっつくふたつの影を見ると、なんだか嬉しくなる。
「藤谷くんは…兄弟とか、いるの?」
「…いたよ、妹が」
……『いた』ってどういうことだろう?
だけど…藤谷くんの横顔が悲しそうだから、なんか聞ける雰囲気じゃない。