キミと帰る道
「わ、私はねー…ひとりっ子なんだ」
「そうなんだ」
妹さんがいることが、過去形って言うのが気になるけど。
そこまで深入りはできないや…。
人にはひとつふたつ言えないこともあるもんね。
もっと知りたいって…欲が出る。
こんなのただの迷惑にしかすぎないけど。
「藤谷くんは…その、親友とかっているの?」
というか、誰のことは覚えられてるの?
「女だけど…大切な人はいるよ」
「大切な人……?」
胸がドクンと変な音を立てながら、波を打つ。
「幼なじみだよ。
いまは…引っ越して外国に行ったけど」
「そう、なんだ…」
女の子の幼なじみさんが…大切な人なんだ。
羨ましいなあ……。