キミと帰る道
「あみに借りる?」
「…うん。 そうするっ」
優芽ちゃんと同じ陸上部のあみちゃんは隣のクラス。
私は隣のクラスに知り合いはいないから、優芽ちゃんがいてよかったかも…。
この階に1年生は2クラスしかないし、上の階に行くのは大変だもんなあ。
「ほら、行くよ!」
「うん!」
足早に教室を出て、隣のクラスの前のドアからチラッと中を覗く。
同じつくりの教室なのに、人や掲示物が違うだけで、なんだか別世界な感じがする…。
「あみー!」
そんな異世界に入れない私に代わって、ズカズカと教室に入って行く優芽ちゃんの後ろをついていく。
「ん?優芽にすずちゃん、どうしたの?」
「すずが日本史忘れたんだよ。
貸してあげてくんない?」
「わーっ、ごめん!
今日、私のクラス日本史ないんだよー…」
申し訳なさそうに顔の前に両手を合わせて、私を見つめるあみちゃん。
…仕方ない。
こうなったら、もう怒られちゃうしかないなあ…。
日本史の先生に怒られるのを想像するけど。
…それだけで怖くて身震いしそうになる。