キミと帰る道





「あみに借りる?」




「…うん。 そうするっ」





優芽ちゃんと同じ陸上部のあみちゃんは隣のクラス。




私は隣のクラスに知り合いはいないから、優芽ちゃんがいてよかったかも…。





この階に1年生は2クラスしかないし、上の階に行くのは大変だもんなあ。





「ほら、行くよ!」




「うん!」





足早に教室を出て、隣のクラスの前のドアからチラッと中を覗く。





同じつくりの教室なのに、人や掲示物が違うだけで、なんだか別世界な感じがする…。





「あみー!」





そんな異世界に入れない私に代わって、ズカズカと教室に入って行く優芽ちゃんの後ろをついていく。





「ん?優芽にすずちゃん、どうしたの?」




「すずが日本史忘れたんだよ。
貸してあげてくんない?」




「わーっ、ごめん!
今日、私のクラス日本史ないんだよー…」





申し訳なさそうに顔の前に両手を合わせて、私を見つめるあみちゃん。





…仕方ない。
こうなったら、もう怒られちゃうしかないなあ…。





日本史の先生に怒られるのを想像するけど。
…それだけで怖くて身震いしそうになる。





< 4 / 228 >

この作品をシェア

pagetop