キミと帰る道
きっと今日も〝初めまして〟。
だけどそんなの気にしない。
私が強くならなきゃ、なにも変わらない。
屋上のドアを目の前にして。
これから起きるいつものことを想定しながら、ゆっくり深呼吸をする。
そして、重たいドアをそーっと開ける。
ギィと鳴りながらドアは開いた。
「藤谷くん…?」
視界には誰もいなくて。
奥に進むと、またフェンスに手をつきながら、空を見上げてる藤谷くんの後ろ姿が見えた。
「藤谷くんっ」
私の声に反応して、藤谷くんはゆっくりと振り返った。
「……誰?」
「逢原すずだよ!
藤谷くんの友達のっ」
「……逢原…」