キミと帰る道
いつもの流れ。
やっぱり、『誰?』って聞かれるのは少し胸が痛むけど。
いつかはちゃんと名前を藤谷くんから呼んでくれることを信じて、もう少しだけ我慢する。
「藤谷くんの人を覚えられないってことで、いろいろ調べてみたの。
ほら、見て?」
コピー用紙を藤谷くんに押しつけると、不思議そうな顔をして受け取った藤谷くんは、コピー用紙に目を通し始めた。
藤谷くんがコピー用紙に目を通し始めてから数分経つと。
藤谷くんは私の顔を見て口を開いた。
「……相貌失認症…?」
初めて聞いたらしく、カタコトでその言葉を口にした。
座って読んでいた藤谷くんと少し間隔を開けて、私も腰を下ろす。
「通称、失顔症。
藤谷くんはそれの軽度のモノなんだと思う」
「なんでおまえがこれを調べたんだよ?」
「……っ、だって友達だもん!
毎日…一緒に帰ってるでしょ?」
「……友達…ね」
「うん」