キミと帰る道
(光輝)
目の前にいる逢原は少し潤んだ瞳で見つめてくる。
…そんな悲しそうな顔しないで欲しい。
友達、なんだよな。
それを俺は忘れていて。
だから、逢原は絶対に傷ついてるはずなのに。
どうして悲しそうな顔で、無理矢理でも笑おうとするんだよ。
俺は…逢原の本当の笑顔を見てみたい。
だからそのためにも…早く記憶の中に入って欲しい。
目の下にクマがあるってことは。
遅くまで…俺の病気のことを調べてくれてたってことだよな?
だからこそ早く…覚えたいんだ。
でも逢原の瞳と声は頭に入ってるんだ。
今朝もこの真っ直ぐな瞳と透き通るような声が頭に入ってて。
だけど、思い出したくても思い出せなかった。
「本当にいろいろ、ありがとう」
「ううん、気にしないで」