キミと帰る道
商店街のおばさんやおじさんは、にこにこ笑顔の華菜に『久しぶりだねえ』とか『大きくなったわねー』とか声をかけて来る。
だけど、華菜にはわかる人でも。
俺にはまったくわからなくて。
きっと俺にとっては関係のないやつなんだと、無視していた。
すると八百屋のおばさんが、俺の前に立ちはだかった。
『華菜ちゃんはちゃーんと挨拶するのに。
光輝くんは挨拶しないの?
お兄さんでしょう、知り合いには挨拶をちゃんとしたらどうなの』
おばさんの存在はよく覚えてないけど。
俺には人を覚えられないけど。
華菜伝いの記憶だけは微かに覚えられていて。
特に…あの日の記憶だけは、知らない人もたくさんでてきているのに。
なぜか覚えていられてるんだ。