キミと帰る道
「なんも知らねえくせに、なんなんだよ!」
つい頭にきて声を荒げると。
逢原は肩をビクッとさせた。
俺はそんな逢原から顔を背けて『悪い』と謝った。
「……大丈夫だよ。
私が言いたいのは…っ。 藤谷くんは亡くなっちゃった華菜ちゃんの分まで、生きてることを楽しんでないから…。
だから…ばかみたいって……」
途切れ途切れの言葉。
…振り向きたくなかった。
俺には泣いている逢原をなぐさめることなんてできないから。
「藤谷くんは病気なんだよ…!
華菜ちゃんのことは…事故なんだよ…。
それにね?これから生きていく上で、いろんな人と関わるんだよ。
だから、『覚えられないから』って逃げちゃダメだよ?
…どうやったら覚えられるかとか、一緒にがんばろう?」
『がんばって』じゃなくて『一緒にがんばろう』という言葉。
思えば逢原は……。
今日、俺にとって逢原は〝初めまして〟の人だったけど。
逢原はそんなことを気にしないで接してくれた、優しいやつなんだ。