キミと帰る道
「あ…あの!
その、日本史の教科書を貸してくれないかな?」
カミカミになりながらも、もう藤谷くんに借りるしかないから。
顔の前で手を合わせて必死になって頼む。
「…ん、いいけど」
「本当っ?
放課後に返しに来ますっ」
「……ん」
藤谷くんは、無表情のまま教科書をあたしに差し出した。
少し女の子の目線が怖いけど…それよりも日本史の先生のほうが怖いもん!
キーンコーン———。
予鈴が鳴って、私は藤谷くんに『ありがとう!』と言って。
私と優芽ちゃんは教室を出た。