キミと帰る道
…なんでこんなタイミングで気づいちゃったんだろう。
叶わないってわかったってことは。
私……藤谷くんのことが好きなんだ。
「そうなの?
光輝は覚えてくれたの?」
「……ううん」
覚えてなんて、くれないよ。
どんなに一生懸命がんばっても。
いつもいつも〝初めまして〟の繰り返し。
我慢してたけど。
もう聖羅ちゃんがいるなら、私が話しかけなくてもいいんだ。
……もっともっと忘れちゃうんだろうな。
あの約束も。
あの鈴のキーホルダーも。
私の瞳と声も。
聖羅ちゃんに塗り替えられるんだろうな。
……そんなふうに。
なにも悪くない聖羅ちゃんに嫉妬しちゃう私は、最低だ。