キミと帰る道
「えー。 でも、4人のほうが楽しくない?」
「いいの? ふたりでラブラブしなくて」
「だってさ、どーせ光輝は誰にも取られないし。
光輝の恋愛対象はあたししかいないもん」
聖羅ちゃんは当たり前のことを言うように、淡々と話した。
藤谷くんの恋愛対象は…聖羅ちゃんしかいない。
その考えがぐるぐる頭を巡る。
でも確かに…そうなのかもしれない。
だって藤谷くんの知ってる女の子はお母さんと妹と聖羅ちゃんしかいないもん。
もし私のことを覚えてくれたら、その恋愛対象に入れるのかな……?
「じゃー行ってくるね!」
「うん」
「行ってらっしゃい、聖羅ちゃん」
私も藤谷くんの隣にまた並びたいな。
それは〝友達〟としてでもいいから。