キミと帰る道






のんびり歩く人を掻き分けて、階段を駆け下りる。





校舎内の空気はモワッとしていて、額に汗も浮かぶ。





…でも、藤谷くんに悪いから。
今日中に返しちゃいたいし。





それに、駅の方向って言ってたよね。
私の家は高校の最寄り駅の近くだから、急げば間に合うかも…!






中履きから急いでローファーに履き替えて。
周りの人に変な目で見られるくらい走りながら、駅の方向に向かう。





あーもー!暑いし、会える気がしないよ〜…。





だけど返さなきゃだし…!





疲れたから走るのはやめて、速歩きで向かおう……。





遠くの空はオレンジ色になっていて。





残暑とは言えど、夕方になると時折涼しい風が、モワッとしたセーラー服の中を通り抜ける。





会えるかな…。
というか、会わなきゃ…!





ちゃんと話したことないけど、話せるかなあ?





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