それでもずっと、君を愛す。
「長谷川先輩っ!おはようございます!」
「あ、おはよう…」
翌日、いつも通りに登校してきた私は、いつも通りに顔も知らない後輩たちに声をかけられていた。
ただ一つ、いつも通りじゃないのは、私に向けるその視線。
後輩たちにはまだはっきりと伝わってはいないようだったが、先日の出来事が噂になっているらしい。
まぁ
はっきりとは伝わってはいないおかげで、こうしていつもどおり挨拶してくれる人も沢山いる。
でも、挨拶してくれる子の中でも、少し私を見る目が違う子もちらほらいた。
さすが、学園の王子が中心の噂になるとこうも違うもんだ。
って、褒めてる場合じゃないんだけど。
噂の中心は、「私が富谷遥樹を叱った」「富谷遥樹は黒王子だった その仮面を破ったのは長谷川汐音」とかそういうことらしい。
でも私は、ホントのことを言ったまでだし。
これで実行委員の仕事やってくれなかったら堪らないもの。
あー、でも後のこと考えると、王子信仰者の皆には血祭りに会うんだろうな…
…考えるだけで頭痛い…
「汐音?大丈夫?顔色悪いよ?」
「え、そうかな…?」
きっとマイナスなことばっか考えてたからだろうな。
「どうかした?なんかあった?もしかしてあの噂?」
「いや、何もないよ?珍しく心配症なんだから、紅葉は。」
「あら、貴女が顔色悪いなんてもっと珍しいわよ?」
そうなのかな…
私結構怖いもの知らずだと思ってたのにな…