嫌われ者に恋をしました
「何に誓おうか?何がいい?」
隼人は腕の中の雪菜の涙を拭いながら、じっと見下ろしてしばらく考えていた。
「何でもいいから、雪菜のお願いを一つ聞こうか?それでどう?信じてくれる?」
何でも一つお願いを聞く?そんな、何を願えばいいんだろう。雪菜は首を傾げた。
「それでも信じられない?」
雪菜は首を振った。
「じゃあ、何がいい?」
深く考えたわけではなかったが、口をついて言葉が出てきた。
「煙草を……、止めてもらえますか?」
隼人は少し目を見張ったが、すぐ微笑んだ。
「いいよ。じゃあ、今この瞬間から吸わない」
雪菜は自分で言っておきながら、そんな急に実行することに戸惑いを感じた。
「そんな、無理しなくても……」
「いや、もう決めたから。もう吸わない」
どうして煙草をやめてほしいなんて言ってしまったんだろう。雪菜は申し訳ない気持ちになった。
「……ごめんなさい」
「俺がお願いを聞くって言ったんだから、いいんだよ。その代わり、もう俺を信じること。わかった?」
「……はい」
煙草をやめるのは大変だと聞いている。それなのに、あっさり「いいよ」と言われて雪菜は困惑した。本気だろうか?こっそり吸ってもわからない、とか思っているのだろうか?