嫌われ者に恋をしました
(2)声が聞きたくて
雪菜は最初に離した時は泣いてしまったが、次に離した時は、恥ずかしそうに微笑んでくれた。
雪菜が手に入ったのに、隼人は切なくて胸が痛くなった。
捨てないで?都合のいい女?
瀬川との関係がどんなものだったのかを垣間見た気がした。そんな仕打ちをされても瀬川を好きだったんだろうか。
瀬川は嫌味な奴だと思ってはいたが、無理やり迫るなんて、そんな強引な奴だとは思わなかった。
なぜ今になって、瀬川はまた雪菜に手を出してきたんだろう。よりを戻したいのか?それとも気まぐれか?いずれにしても、絶対に許さない。
瀬川にキスをされたなんて許せなくて「取り返したい」なんて言ってしまったけれど、そもそもあの時雪菜は俺のものじゃなかった。
だから、雪菜がキスを受け入れてくれて、本当に嬉しかった。雪菜の気持ちは、間違いなく俺に向いていると感じた。
雪菜の唇は柔らかくて、抱き締めた体は細く儚くて、しがみ付く手の小ささを感じて、何もかも大事にしたくてたまらなくなった。もう、溺れて夢中でどうしようもない。
煙草をやめてほしいと言われるとは思わなかったが、雪菜が煙草嫌いなのは知っていたから、正直キツイが今すぐやめよう、と思った。