嫌われ者に恋をしました
「そういえば警察は?」
「男がすぐ逃げちゃったしねえ、お嬢ちゃんがもう呼ばなくていいって言うから、呼ばなかったんだよ」
「そうでしたか。本当にありがとうございました」
雪菜を見下ろすと、雪菜はスリッパを履いて隼人を見上げ、そっと手に触れてきた。
怖かったんだろう?切なくなって、触れてきた手をギュッと握った。
「いいねえ、仲が良くてねえ」
手を繋いだからか「かあちゃん」がニコニコしながら言ってきた。そう言われても不思議と照れは感じなかった。
「似た者同士みたいだし、なあ?俺達にもそんな時代があったなあ」
「アンタはこんなにいい男じゃなかったよ!」
「オマエだって、こんなにべっぴんじゃなかったよ!」
二人で勝手に盛り上がっている……。俺達も似た者同士に見えるんだろうか。でも、この似た者夫婦に言われるとちょっと複雑な気分になる。
ふと雪菜を見ると目があった。雪菜がパッと赤くなったから、あまりにかわい過ぎて自分も赤くなっているんじゃないかと思った。
隼人たちはもう一度店主たちにお礼を言ってコンビニを後にした。