嫌われ者に恋をしました
雰囲気?服装とか髪型のことだろうか。確かにいつもみたいにスーツじゃないし、髪もまとめていない。でも、それはお互いさまだろう。普段見せないこんな生脚を披露している人に言われたくないな。
「と、……とても、素敵ですね……」
雪菜は早口にそう言うと、すぐにパッとうつむいた。一瞬の出来事に、えっ?と思って見ると、下を向いた雪菜は耳まで赤くなっていた。そんな雪菜につられるように、隼人は自分までじわじわ赤くなっていくのを感じた。
最初は表情がなかった雪菜。だんだん、瞳で読み取れるようになって、少し微笑むようになって、今はこんなに真っ赤になってかわいらしいことを言うようになった。
確実に近づいている。嬉しくてたまらない。
「いつもは素敵じゃないみたいな言い方だな」
赤くなったことを隠すために、顔をそむけてつい意地悪なことを言ってしまった。
「い、いえ!いつもかっこいいです」
パッと見上げて、もっと赤くなって雪菜が言ったから、隼人はめまいがして抑えがきかなくなるような気がした。
そんな顔をして、そんなことを言うなんて。こんなにかわいいのは反則だろう?もう、このまま抱いてしまおうか。そんな衝動が背筋を走った。
でもその時、玄関に目をやって、少し冷静な自分が戻ってきた。
「雪菜、これからうちに来ない?」
「え?」
雪菜は目を丸くした。