嫌われ者に恋をしました

 遠慮しているのか怖れているのか、雪菜の反応はいまいちよくわからなかった。

 今日はいろんなことがあったから、参っているのかもしれない。ちょっと時間は遅いけど、ドライブにでも連れて行ったら気分転換になるだろうか。

「うちに行く前に、少しドライブでもする?」

「ドライブ、ですか?」

「好きなんじゃないかと思って」

「えっと、そうですね……」

 雪菜は戸惑っているようだった。

「じゃあ、着替えてもいいですか?」

「えっ?着替えるの?」

 長い生脚が見られなくなるのが残念で、ついそんなことを言ってしまった。

「えっと、だって、この服、部屋着というか、寝巻ですから……」

「別に街中を歩くわけじゃないんだから、平気だよ」

「でも、ちょっと、抵抗を感じます……」

「全然平気だって。俺も似たようなもんだし」

「そんなことはないと思いますが、……じゃあわかりました」

 雪菜はかなり不本意な様子だったが、着替えるのを諦めてくれた。それにしても、やたらしつこく食い下がってしまった。さすがに気がついただろうか。
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