嫌われ者に恋をしました
「雪菜もシャワー浴びてくれば?」
その言葉を聞いた途端、雪菜はビシッと固まってしまった。雪菜が固まってしまったことに気がついた隼人は、急いで言葉を重ねた。
「あー、あのさ、そういう意味じゃないから。今日はいろいろあったし、もう遅いから、何かしようなんて考えてないから」
焦りながら言う隼人の言葉を聞いて、雪菜は少し驚き、そしてほっとした。……良かった。あの苦痛が延期になるなら嬉しい。課長が変わってしまうなんて、まだ見たくない。もう少し王子様でいてほしい。
「……お借りしてもいいですか?」
「頬はもう平気?」
「もう大丈夫です。ありがとうございます」
隼人は氷枕を受け取ると、雪菜を風呂場まで連れて行き、タオルを渡した。
「服も貸す?」
「いえ、着替えは持って来たので大丈夫です」
「そう?タオルは使い終わったら洗濯機に入れてくれればいいから」
「はい、ありがとうございます」
隼人が出て行って一人になると、また風呂場の大きさに圧倒された。風呂とトイレも別になっているし……。普通はそうなのかもしれないけど、やっぱり私のアパートとは違う。